酒席でマタニティマークの話になったので、例によってMマークをつけない方針について語った。方針もなにも、酒場で管巻いてるような俗人が、通勤時つらいからってこれ見よがしにMマークをつけるのは赦されるものではないというくらいの自覚はある。
「人は様々な事情を抱えてるけど、それぞれにマークがあるわけではない。ましてや妊婦は病気ではない。つらそうな人がいたら検知して席を譲る、という単純な思い遣りじゃだめなんだろうか」と主張したら、「実は同じようなことを考えていて、Mマークには賛同しかねるけど表立ってそうは言いづらい」という友の意見が引き出せた。「その考え方いい。総理大臣になってよ。エヴィータになれるよ」って。なんせアルゼンチンでこそないが、酒の席なんで。
Mマークは付けていないものの、さすがに腹が目立ってきた。時差通勤な上に遠回りして出勤してるし、人が降りる駅では自分で空席確保に動くし、できるだけ人に面倒をかけないようにしたいと思いつつ、そうも言っていられない。一週間のうちに二回席を譲られ、ありがたく座らせてもらった。Mマークを着用していなくても、席の前、特に優先席の前にこれ見よがしに立つと人にプレッシャーをかけてしまうんじゃないだろうか、と思い、ドアの周辺や、そこも空いていない場合は「どこでもない通路」に立つことにしていたんだけど、踏ん張って余計に負荷がかかるためにきつくなって、素直に車両の両端に行くようになった。そうすると必然的に優先席周りになってしまうので緊張する。
携帯に夢中な人ならば気づかなくて負担にならないだろうか。いやむしろ強くアピールしているように見えるだろうか。誰も全然気にしていないであろうことを一人思い悩むあたしは小さい。自意識過剰で実に小者だ。オットの人に言わせると「過剰にシャイ」なんだそうだ。こんな小市民ではエヴィータにはなれそうにない。