2013年7月20日土曜日

洗いざらしのロンパース

新品を着せるのはクールではないので、風合いを出すためにベビー服を洗った。…って、ヴィンテージ仕様のジーンズじゃあるまいし。

 ベビー服は、一度「水通し」するのが望ましいらしいですよ、奥さん。ご存知でした? あたしは知らなんだ。一部の衣類に「水洗い不要」という表示を見つけて、「ということは、ほかは必要なんだな」ということを逆説的に理解したんだけど、まぁ人に寄りけりらしい。哺乳瓶の消毒ほどには一般的ではないらしい。ワゴンセールの商品を洗ったり洗わなかったり(そもそも買ったり買わなかったり)するのと同じだな。

 大雑把なはずの妹が、「最初は赤ん坊用洗剤で水通ししたよ。暇あるんだからやっておきなよ」と言うので、しておくことにした。無菌主義じゃないけど。むしろ免疫つけて欲しいけど。「戦時中は防空壕でも出産してたし、不衛生な環境でも育つ子は育つし」とブツブツ言いながらジップロックにしまっていたら、オットの人に「とか言いながらやってるけどね」と笑われたのが悔しかった。

 洗いざらしのベビー服は、見事にシワシワ、くしゃくしゃの使用感が出ている。これが単なるお下がりコレクションと捉えられるか、愛情をかけた水通しアイテムと捉えられるか。パンダの着こなし術に期待したい。

2013年7月13日土曜日

産休告知メールと不在通知

産休前の挨拶メールをto do リストに置いたまま、いよいよ来週から休み、と日程が差し迫ってしまった。いっそ出さないというのはどうだろう。メールが届いた場合だけ自動返信で不在を通知する設定にしておくとか。ただそれだと、メールをもらった相手に「当然(産休について)関係先に知らしめたであろうに、自分には連絡がなかった」と誤解されかねないし、先方は自動返信をみてから別の担当者に連絡をしなければならない、という二度手間になってしまう。「なお、どなたにも事前告知はしておりません」と付記するわけにもいくまい。具体的な予定日を知らせないまでも、いずれ産休に入ることは知らせていた相手には「そろそろかな」と思われているに違いない。

 それでも気が進まないのは、産休という非常にパーソナルな事柄を伝えなければいけないことへの戸惑いがあるのと、それをどのレベルの関係先まで送るのソートが面倒だからなのだった。自分自身が届いた挨拶メールに対して「イベントで一年前に名刺交換したことがあるだけなのに、わざわざ産休を知らせてくるなんて、余程うれしいに違いない」と邪推した経験もある。あたしほどねじ曲がった受け取り方をする人はそういないのかもしれないが、妊娠・出産に対して様々な取組みや思いを持っている人を考えると、行間におめでたさがにじみ出るような挨拶メールは出したくない(検索するとこの手の文例が多い)。復帰時期は重要な要素なのに未定事項。課題は多い。
 
 スマートかつプロフェッショナルな挨拶メールの前例がないか、編集者であるところの友人たちにも尋ねたのだが、特に心当たりはないという。でも告知は出すべき、というアドバイス。できれば産休ということにもふれたくないが、「長期休暇」とだけ書けばメンタルかワケありだと思われて余計な心配をされてしまう。悩んだ挙句、無駄を削ぎ落として非常にシンプルな挨拶文を作成した。

 メールへの自動返信で誰彼構わず産休中だと告げるのはどうしても嫌なので、簡潔で曖昧なところで妥協した。英文併記なのでよくよく英語版を読むと産休だと分かる、という隠れメッセージつき。英語は簡潔に済むからいいな。

 これでも不愉快に感じたり、疑問を持ったりする人はいるのかもしれない。誠に挨拶メールというのは難しい。なんとか出し終えて「産休前の挨拶メール」の項をチェックできたのは良いけど、復職したときの挨拶メール、というのがto do に加わったので+−0…。半年後のあたしは、業務効率化のオニになっていて、こんなつまらんことに時間を取られたりしないのだ、と思いたい。


[同報挨拶メール]
(※一斉送信にて失礼します)
日頃より大変お世話になっております。
私事ではありますが、来週、X月XX日より出産のために長期休暇をいただくことになりました。来週以降のお問合せにつきましてはXXXまでお願いします。

復帰後、また皆さまとお目にかかることを心より楽しみにしております。
末筆ながら皆さまのご健康とご多幸をお祈り申し上げます。


[不在通知]
当面の間、休暇をいただいております。
お手数ですがお問合せはXXX宛にお願いします。

Hi,
I'm taking maternity leave and will be out of the office for a while.
During my leave, please contact XXX.
Thanks.

2013年7月6日土曜日

九ヶ月妊婦の海外行き…その顛末

念願叶ってタイ出張、無事に旅立って意気揚々と帰国する…ところまでは良かった。タイ航空で診断書にちょっとケチがついたけど(※営業日に関係なく7日以内の診断書が必要なため、火曜出発で前週火曜は基本NGだと言われてチェックイン時に軽くもめた。休診日もあるし、前日に行くほどヒマではない)、フライトはなんの問題もなかったし、何人かに脅された「気圧の変化でお腹がおかしくなる」ようなこともなかった。むしろ成田からのNEX&JRの旅の方がしんどかった。

 現地ではいつになく慎重に、ホテル内と高級レストランと空港・機内でしか食事もとらなかった。ストリートフードにも途上国のナマモノにも果敢に挑戦するあたしにしてはよく頑張った。

 しかし。「一般人の10倍くらい菌に弱くなっている」(出展は覚えてないけどどっかに書いてあった)妊婦の体をナメてはいけない。早朝便で帰国して、昼にはいなり寿司、夜はあまり誇れないがデリバリーピザを食べたところまでは良かった。早めに就寝しようとした22:00前後、猛烈な嘔吐と下◯、胃痙攣に襲われて夜間救急に電話、クルマで病院に急行〜。

 診断は急性胃腸炎と、それに伴う切迫早産とやらで、深夜に検査を諸々受け、安静指示をうけて帰宅。整腸剤でどうにかなるレベルじゃないけど、痛み止めは飲めず…。数分おきにくる強烈な差し込みに身悶えしながら、眠れない夜を過ごす。陣痛の予行演習のようだ。陣痛じゃなくて本当に良かったけど、「刺激で産まれちゃうとマズイから」って医者に言われたけど、本当にマズイよ、荷解きしてない出張の荷物以外はなんの入院準備もできてない、つうかまだ買い揃えてすらいない!

 痛みのなかでもあたしは、少女パレアナのように前向きであろうとした。パンダよ、胎内に踏みとどまってくれてありがとう、雷鳴轟いているだろうがしばし我慢してくれ、と念じつつ、胃腸炎の潜伏期間というやつに心から感謝する。現地で発症してたら、あのタイ航空が載せてくれるはずがなく…うう、執行猶予バンザイ。母国の土を踏ませてくれてコップンカー。


 そして空白の五日間。入院は頑なに拒否して、通院による点滴生活。「こういうのは長いから、一、二週間かかりますよ」って医者には言われたけど、四日間でなんとか生活レベルに、一週間でほぼ正常に戻った。当然出社もできなかったけど、同僚たちは心配してフォローしてくれた。すいません、すいません。現地で飲酒とか夜遊びとかしてなくて良かったよほんと。同情の余地がなくなるところだった。

 出張にあたり「あまりお勧めしませんよ」と釘を差されていた医者には自業自得オーラで診察されるのを覚悟していたのだが、それもなかった。忘れていただけかもしれないが。大変だったわね、と助産師たちも優しかった。皆さまの、暖かいご支援が、ただれた胃に染みます…。

 切迫早産の危機も脱して健康体に戻ったから言えることだろうが、それでもあたしは行って良かったと思う。出張から得たものは大きかったし、行かなかったら行かなかったで、慎重過ぎたな、と悶々としていたと思う。やらないより、やって学習する方が好きな射手座なんで。What doesn't kill you makes you stronger...また一つ、逞しくなりました。