2013年1月15日火曜日

パンダ発見

出張から帰国した翌日、大雪が降った。その夜からいきなり、立ち上がるときに背中に猛烈な痛みが走るようになったので、次の日は会社を休んで病院に行くことにした。前日の雪がまだまっさらで、歩行路が僅かしかない病院までの道のり。
 腰のX線をとる前に、妊娠の可能性が0ではないならば一応妊娠反応をみてみませんか、と聞かれ、「生理は不順なんです。いつも不順なんですけど」と固辞しながら尿検査を提出して戻ると、「陽性ですよ」と微笑みかけられた。ヨウセイ? 妖精? 
 全く予期していなかったので、あれよという間に婦人科で台に載せられて大開脚で「ほら、います。計算だと9週目くらいですかね。どうですか」と感想を尋ねられても「ただびっくりしています」と、気が利かない、広報的にいえば「使われない」タイプのコメントしかできなかった。
 うれしくないわけではない、と思う。でも手放しでうれしいわけでもない。そういえば体調が悪かったのも、酒に弱くなっていたのも、11時間の飛行がいつもより体に響いたのも、だからだったんだ、としっくりくる感慨の方が強い。忘年会シーズンくらいから思うようにお酒が進まなくなっていて、先週もたった三杯の泡で吐いた。まわりには歳のせいだよ、とあしらわれて、腑に落ちないまま飲み会の席で水をがぶ飲みしていた。
 そんなことを思い返していたら、ふと浮かんだのが、「今年の忘年会は、オールとかできないんだ、あたし」という思いだった。恒例の忘年会! ちょっとマンネリ化しているけど、でもそんなところが心地良い、例年のお約束。オールどころか行けないのかも、今年どころか、来年も再来年も行けないのかも? 決定的になにかが損なわれてしまった感じ、もやもやとそのオーラが胸に広がって、広がりきったらまた薄れていった。心配するべきことは、もっとほかにある。 
 その心配を増やすことが任務かのように、 看護婦さんが笑顔で、かつ淡々と、諸手続きや今後の流れを説明しながら、大量の書類と冊子を渡してくれる。質問はない? と言うので「安定期に入るまで仕事先には言わないでおこうと思いますが、安定期はいつですか」と聞くと、20週くらいね、と答えながら「すぐ言うのがいいわよ。残業とか、仕事の融通してもらったりね」とまた笑う。いや、一昨日までアメリカ出張してたんですけど、それでいきなりなんて、と戸惑うと、「知ってたら怖くて飛行機なんて載れなかったわね!」とケラケラと弾ける。そうなのか? 知ってたら行かなかったのか? ってか、普通って、なに基準よ? 手元の、もらったばかりの昭和的なイラストが表紙に描かれた冊子に、求めている情報はありそうにない。
 「こんにちは赤ちゃん♪」的な出版物やブログは数多あれど、しっくりくるものが思い浮かばない…のは多分、まったく探したことがないからだろうけど。そんなに夢見る少女じゃいられないところの気持ちをつらつら綴れば、少しはもやもやが和らぐんじゃないかと思い立ってブログを立ち上げてみた。仮に「すべての犠牲が犠牲とも思えなくなる」(って一般的に表現されがちな)瞬間とやらがくることがあっても、酒に弱くなって衝撃をうけたこととか、年明け早々から忘年会に考えを巡らせたこととか、ロマンスの神様、いつまでもずっとこの気持ちを忘れたくない♪ という万感の思いを込めて…。

 


 

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